「さっき一ノ瀬翔が来て、美華指名って。
営業終わってるって言ったら、これ…」

そう言って店長は何枚にも重なる札束を見せた。



「こんなに…」


軽く500万はあるだろうか。


「根負けして入れたんだよ。
でも、美華…お前まさか一ノ瀬翔に…?」

「やめてよ。
他のキャバ嬢と一緒にしないで。
あたしは神崎美華だよ。
男にハマる女じゃない」





翔のところに戻ると、
黒服達が囲んでいたのは、シャンパンタワー。



「うわぁ…」

「店でしかケーキ食べたことないって、今日も結局店になっちゃったけど…」


翔はタワーの一番上のグラスをとってあたしに差し出した。



「お前にもう一度会うにはここに来るしかないって思ったんだよ」




いちいちドキドキさせるようなことを言ってくる。


普通なら女の子はみんなこいつのこともう好きになってるのかな。



でもあたしは普通じゃ嫌なの。
簡単にハマりたくない。