first love

お茶を出される。



あぁ、懐かしい匂い。


何も変わってない。


この建物も、おばさんも。





「もう、五年ぶり?
もうすぐ六年ぶり?」

「うん…」

「綺麗になったわねぇ、美華ちゃん。
元気だったの?
ちゃんとごはん食べてるの?」


おばさんの質問攻めにあたしはクスクス笑った。




「ねぇ、落ち着いてよ。
おばさん昔から全然変わってない」


「美華ちゃんも!
昔から綺麗だったけど、もうすっかり都会の子なのね。
私、ずっと美華ちゃんのこと心配してたのよ。

突然東京行くなんて言うから。
それから連絡も一切ないし。」



「ごめんね。
あたし…実は東京で……」


「水商売…やってるの?」


あたしはコクっと頷いた。



「なんか、言えなくて。
ごめんね。
あたしを大切に育ててくれたから、やっぱり水商売ってなんか言いづらくてさ。」



おばさんは、あたしのお母さんみたいなもんだった。

生まれてすぐにここに預けられて育ったから。






「なーに言ってるの!
噂で聞いたのよ。
美華ちゃんあっちで凄い活躍してるんだってね。
ちゃんと教えてよ。
ねえ、あなたは彼氏なの?」


おばさんは翔に話を振る。


「初めまして。
滝澤翔也です。
美華とお付き合いさせてもらってます!!」


あたしは翔の慣れない敬語に思わず吹き出した。



「美華なんだよ(笑)」

翔があたしをチラっと見る。

おばさんもそんなあたし達を見て笑ってた。





「ねぇ!おばさん!
これ!」


あたしは左手の薬指を見せた。




「え!?もしかして…」

「結婚するの、あたしたち」

「きゃーーー!!!」


おばさんも大興奮。
そしてまた、潤む目をハンカチで抑えている。



「なんかもう…びっくりの連続で…」

「ごめんね(笑)
結婚報告、おばさんが初めてだよ」


「昨日、プロポーズしたんです」






あたしはこの時、初めて気づいた。


プロポーズを昨日したのは
翔の計算だったということに。



あたしを育ててくれた人に
一番に結婚報告できるように。