あたしはマナミの姿が見えなくなったところで深いため息をついた。




「共犯者の気分。」


「…ごめん。」




あたしは池田をチラリと見た。



「あれからどう?」

「何も変わってないよ。
そっちは?」


「こっちも。」


「マイ、まだ翔の店行ってるよ」

「だろうね。」



あたしは二本目のタバコをくわえた。




「あ、No. 1おめでとう。
有言実行だな。
あの看板。」


「あんた、よくあたしのこと応援できるよね。
普通自分の女、応援するでしょ(笑)」


「俺、マイにキャバなんてやってほしくないもん、ほんとは。
こんな仕事、応援できねーよ。
嫉妬するもん、俺。」

池田はそう言うと笑った。



「普通そうだよね…。
No. 1しか愛せない翔がおかしいんだよね。」



「翔はきっと、No. 1の神崎美華に恋してるんだよ。
マイのときもそうだった。
最低な男だよ」

「あたしがキャバ辞めたら、きっと翔、いなくなっちゃうよね…」


池田は何も答えなかった。







みんな、そうだったんだもん。

辞めた瞬間、翔がいなくなる。


あいつが好きなのはきっと、
No. 1。
それなら誰でもいいんだ。