あれから数ヶ月が経ち、

季節は冬。








あたしは今日も歌舞伎町でタクシーから降りた。



いつも決まって降りるのはこの場所。






歌舞伎町の真ん中。

見上げれば、あれから変わらずその場所を譲らない翔。



そして、その隣で微笑む、



あたし。






















店内に入るなり

「おめでとーーーー!!!」

と、マナミのかん高い声。





「マナミうるせーよ」

それに突っ込む池田。



「看板今日はり変わってたよね!!!!
やったじゃん!!!!」


マナミの方がテンションが高くて、
あたしはそれに笑っていた。






「よかったな、美華」

店長があたしの頭をポンっと撫でた。













あれから数ヶ月が経ったけど、
あたしと翔は何も変わらない。








どんなに翔を最低だと思っても、
やっぱり離れたくないからそばにいる。


離れたら前みたいに後悔すること、分かっているから。










「美華、翔の隣欲しかったんだな」

キッチンでまたいつものように店長とタバコを吸う。




「それもあるけど、この店に少しでも恩返ししたくて。」


「なんだそれ(笑)」

「この店がなかったら、今のあたしもいなかったわけじゃん。」

「美華、この店が危なかったの分かって戻ってきてくれたんだろ?
マナミと池田に聞いた。
ありがとうな。
本当、美華には救われたよ」