「………だったら…」


翔が口を開く。



「キャバ嬢なんてやめろよ」








あたしは、ピンときた。


この言葉だ。
この言葉で、今までたくさんのNo. 1キャバ嬢が、全てを捨てたんだ。



「俺のとこにずっといてよ」


翔だけのために、すべてを犠牲にしてきたんだ。








「……やめてよ……」






あたしは翔を睨みつけた。






「他の女と一緒にしないで!!!!」


あたしは持っていたケータイを翔に投げつけた。



「今までそんな適当なこと言っていろんな人の人生めちゃくちゃにしてきたんだろうけど、あたしは違うから!!!」






翔が分からない。



あたしをどうしたいの?





「マイさんみたいに、あたしのこともめちゃくちゃにしてボロボロにしたいの?」





「は?マイ?
なんで今マイの話になんだよ」


「とぼけないでよ!!!
あんたってまだ懲りてないんだね!!!
人のことあんだけ傷つけて、また同じことをあたしにしようとしてるんだもんね!!!
ほんっとに最低!!!!!
あたしもマイさんと同じようになるとでも思った?
全部捨てて、あんただけのこと考えるほど愛してるって?」




止まらない。


歯車が、動き出す。




「バカじゃん!!!
悪いけどあたしはそうはならないよ!!!
あんたのために、全部捨てるなんて無理!!!


あんたの嘘に騙されたふりするのも無理!!!」







気づけば怒鳴り散らしながら、身の回りのものを翔に投げつけまくっていた。