「美華って本当、男に興味ないよね〜。
信じらんないよ〜」

「マナミは男にしか興味なさすぎ!(笑)」


するとあたしたちは笑い合った。





マナミは同じ店の黒服に恋してる。

いわゆる色恋管理されてるのだ。


「やめときなよ、池田なんて。」

キャストとボーイの恋愛はご法度。
見つかれば待ってるのはペナルティ。


それ以前に、色恋管理されてる時点で、池田はマナミに脈などない。
池田はただ仕事してるだけ。

マナミもバカじゃないから、そんなことは分かってる。
だけど、諦められないらしい。



「いっそ店変えちゃえば?
そしたら担当とキャストの関係じゃなくなるじゃん。」

「別に池田さんとは付き合えなくてもいいの!
あたしの担当でいいの!」

「はぁ?」

「この関係が一番近くにいれるじゃん」


マナミはそう言って、店員に「おかわりー」と空いたジョッキを差し出した。







…理解できない。
どうしてそこまでして好きでいれるのか。

付き合えなくてもいいから、一番近くにいたいなんて、全く理解できない。


なんのメリットもないじゃない。





「マナミって、バカだよね」

「うるさーーーいっ!
美華も恋愛したらそのうち分かるよ!
って美華に恋愛なんてありえないけどー!」

マナミはそんなことを言ってギャハハと笑った。



悩んでるのかなんなのか分からないマナミ。

でも恋してるマナミはなんとなくキラキラして見えていた。




あたしはきっと、マナミみたいに誰かを想うことは一生ないんだろうな。