翔はあたしをベッドに押し倒した。



手首を握る翔の力が強い。


「ねぇ、痛い」

「関係あんだろ!!!
美華と付き合ってるのは俺だろ!!!
お前おかしいよ」



翔が怒鳴る。


翔の真剣な顔を、
あたしは直視できない。




「おかしいのは、翔もだよ……」





「は?」



「あたしは翔に嘘をつかないよね?
なのになんで疑われなきゃいけないの?
店長とはもう何もない!
ただ普通に店長とキャストの関係!
なのに、いちいち疑われるのがうざい!
もうあたしに干渉しないで!!!」


あたしは翔を睨みつけた。



「なんで疑うのかって……お前のこと信じてないからだよ」



「あたしがいつあんたを裏切ったの?
あたしがいつあんたに嘘ついた?

嘘つくのも裏切るのも、翔の方じゃん!!」








何が、「マイはただの客」?
そんなの、まるっきりの嘘のくせに。



信じたくても信じられないのはこっちのセリフ。




翔の嘘を信じてるふりして、騙されたふりして……


こいつはあたしの気持ちなんて何も知らない。