ー初日。
あたしが更衣室に入るなり視線が集まるのを感じた。
いかにも、いづらい空気。
静まり返る中、真っ先に駆け寄ってきてくれたマナミ。
「美華!戻ってきたんだーーー」
救世主だ。
「うん、もう一回No. 1が欲しくなって」
あたしはそう言ってチラリとマイさんを見た。
余裕そうな笑みを浮かべる。
あの看板と同じ。
「また頑張ろうね」
そう言ってマイさんは更衣室を出た。
「わーーー。
余裕だね、マイさん。」
何も知らないマナミに、
本当は全部話してしまいたい。
いつもみたいに、話して、マナミに笑い飛ばされてスッキリしたい。
でも今回は言えない。
池田のことを話して
マナミを傷つけたくない。
「…美華、どうしたの?」
うつむくあたしの顔をマナミが覗き込む。
「なんでもないよ」
あたしはキュッと左手のブレスを握った。
「……翔の隣に戻りたいの」
あたしはそう言うとキッチンへ行きタバコを吸った。
「美華、なんかあった?」
次に来たのは店長だった。
店長は、すぐにあたしの異変に気付く。
ずっと一緒にいたからだね。
きっと誰よりもあたしの理解者。