first love

店を出た瞬間に池田があたしをまた捕まえる。


「なんなのあんたは。
そんなにうざいキャラだった?」


「面接、合格っしょ?」


あたしはフフンと微笑んで見せた。




「っしゃー!
美華が戻ってきたらこの店も少しは変わるかなーーー!!!」


池田の異様なテンションに笑うあたし。



「店長、ずっと美華を待ってたと思うよ〜
って俺も待ってたんだけどさ〜」


「ぷっ。
なにそれ。
キャストにいじめられたらあたしのこと守ってよね」


「いじめられるキャラじゃねーだろ(笑)
お前には店長もマナミもいんじゃん」





池田の口からマナミの名前が出てあたしは「そういえば」と切り出した。



「あんたさ、なんでマナミと付き合わないわけ?」

「なんでって……(笑)」

「女いるの?」

「そうじゃないけど、風紀できねーじゃん。」

「は?そこで真面目ぶるわけ?
そもそもあたしと店長が風紀してたんだから、今更この店にそんなルールあってないようなもんじゃん」

「まあそうだけど……」

「何、あんた。
マナミをフるとか生意気じゃん(笑)」

あたしがからかうと池田は突然暗い顔をした。






「美華さ、今も翔と付き合ってるんだよね?」

「うん、そうだけど」

「マイのことなんか知ってる?」







あたしは、池田を見つめた。




「マイさんが何?」

「いや、知らないならいいや」