家族を知らないあたしは、
誰かに愛されることも知らずに生きてきた。



この世界に飛び込んで、

あたしは初めて誰かに愛されるということを知った。




何万ものお金を使ってでも会いに来る男たち。


好きだと愛してると言われれば言われるほどに
あたしの心は満たされていく気がした。



そしてその男たちによって、あたしは欲しいもの全て手に入れてきた。



これが幸せなんだと実感していた。






……今日までは。











幸せそうじゃないなんて、初めて言われた。




あたしは寝ている翔を見つめた。





「あんただって全然幸せそうじゃないよ」