それから数日が経ち、
久しぶりにマナミが家に来た。
「ごめん」
あたしは最初に謝った。
マナミに会うのは、店長と別れてからは初めてだ。
「なんであたしに謝るの?」
「いや、あんなに止めてくれたのに。」
翔が同伴でいない時間、
マナミと家で飲んでた。
「仕方ないじゃん。
好きなもんはどうにもなんないっしょ。」
店長を裏切ったことに対して、怒ってると思ってた。
でも意外とそうでもなかった。
「翔とはどうなの?
また泣かされてない?」
マナミがそうからかう。
「それがさ、全然なんだよね。
翔の地元の沖縄にも連れてってもらったり。
なんだかんだ幸せ」
あたしがそう言うと、安心した表情のマナミ。
「良かったじゃん。」
「良かったのかな、未来なんて見えないのに」
「どうして?
翔だっていろいろ考えて美華のこと大切にしてんじゃないの?」
「どうだろう。
翔は寂しがりやだからあたしを置いておきたいだけなのかも」
マナミは何も言わなかった。
「店長は元気?」
あたしがこんなこと聞く権利もない。
だけど……
「もう連絡とってないの?」
「あたしが勝手に出てきちゃったから」
「そうだったんだ……」
「店長から何も聞いてないの?」
「うん、別れたとしか聞いてなかった。」
あたしのことを悪く言うことすらしない店長。
店長らしいよ。
「連絡、とってないんだ。
じゃあ店のことも何も知らないんだよね?」
なんだか意味深。
マナミの表情でなんとなく察した。
「なんかあったの?」
「あの店、つぶれるかもって。
売り上げが追いつかないみたいよ。」
すぐに分かった。
あたしのせいだ。
店長を追い込んだあたしのせい。