お風呂から上がった翔はあたしを後ろから抱きしめた。




「美華ちゃんさっきごめんね。」






翔のこと、独り占めしたくなっちゃうよ。


あたし、こんな嫉妬深い女だった?








「美華はもう歌舞伎町には戻らないの?」

「わかんない。
なんで?」

「美華、毎日物足りなそうにしてるから」





仕事を辞めたあの日から、

ぽっかり穴が開いている。



幸せに満たされてるけど、何か足りない。

翔がいない時間が寂しい。




だけどもう一度あの世界に飛び込む勇気が出ない。




「俺だけじゃ足りない?」

「え?どういう意味?」

「ううん、なんでもないや」


翔はそう言って仰向けになった。








翔は今、なにを考えてるんだろう。




全部知りたいよ。

だけど、聞き出せないのは




あんたを傷つけてしまいそうで。