翔が泡風呂にして溜めててくれていた。




「ねぇ、翔」


湯船に浸かるあたしと、
頭を洗う翔。


「ん?」


「翔の生まれ育った場所に連れてきてくれてありがとう。」

「なんだよ、いきなり(笑)」


「あと、」


あたしは翔を見つめた。


「翔のこと教えてありがとう。」



翔はあたしを見て微笑んだ。





「また、連れてきてくれる?」

「うん」


全部洗い終わった翔が湯船に浸かって次はあたしの頭を洗い始めた。



「俺さ、思い出したくなかったというか、受け入れられなくて、
ずっと来れなかったんだ。
沖縄から出たのも、一刻も早くこの土地から出たかった。忘れたくて。


でも、やっと来れて少しは現実受け入れられた気がするよ。
美華が一緒でよかった。

一緒に来てくれてありがとな。」



あたしは全力で首を横に振った。





ありがとうは、
あたしが翔に言う言葉。






泣きたくないのに、目に涙がたまる。



視界がぼやける。




「美華また泣くの?(笑)」

「泣いてない!!!!!!」


翔が笑う。