翌日、あたしたちは朝一番で空港に向かった。
あたしたちにしては珍しくタクシーを使わずに、
手を繋いで駅まで歩きそこから電車に乗った。
なんか、新鮮。
翔と手を繋いで歩くなんて、初めてかも。
普通のカップルみたいで、嬉しい。
「いいな、こういうのも」
やっぱり。
翔も同じことを考えてた。
飛行機に乗り込むと、翔はまたあたしの手を握った。
「どうしたの?(笑)
飛行機怖いの?」
「バカ」
翔はあたしの顔をじっと見る。
「なに?」
「ううん。
美華の顔見たくなった」
「は?気持ち悪いよ翔」
ウケを狙ってるのかなんなのか分からないけど翔はたまにくさい言葉を言ってあたしを笑わせる。
「沖縄、初めてだから案内してね」
あたしが翔にそう言うと「任せろ」と、自信満々に言った。
「沖縄そんなにいいんだ。
もう何回も行ってるの?」
「ううん、二回目」
「は?あんなにごり押ししといて二回目なの?(笑)」
「そう。
ずっと行きたかったんだけどさ、なんだかんだ行けてなくて。」
「一回しか行ったことないくせにあんなに沖縄のこと語ってたわけ?(笑)」
あたしはケラケラ笑った。
「よかった、美華を誘って」
「ん?」
「今日美華いっぱい笑ってる。
俺、美華ちゃんのその顔、世界一好きなんだよ」
翔は飛行機の中で声を小さくするでもなくサラッと言う。
「ねぇ、恥ずかしいからやめて」
確かに、あたしは今日すごく笑ってる気がする。
でもそれは、翔の様子が朝からおかしいから。
手を繋いで歩きたいって言ってきたり、
可愛いを連呼したり、
くさいセリフ言ってきたり。
そんなこんなで沖縄まであっという間だった。