「そんなに沖縄好きなんだ」


「うん、ちょー好きー」


あたしは翔をジッと見つめた。

「翔が沖縄とか田舎にいるとこ想像つかないや。
似合わなすぎて。」

あたしはププッと笑った。


「そうー?
俺はこんな汚れた街より田舎でのんびり暮らしたいけどね」

「なにそれ、意外。」

「もう東京飽きたよ。
どっか遠くに行きたいよ、美華ちゃん」


翔はそう言ってあたしに甘えてきた。



「翔って生まれも育ちも東京なんだっけ?」

「いや、そうでもないけど。
美華は地元北海道なんだっけ?
いいなぁ、田舎。
帰りたいとか思わない?」


「あたしは田舎が嫌で東京出てきたから。
別になにも思わないけど」


あたしは翔をじっと見つめた。



「翔ってさ、自分の話になるとはぐらかすよね」

「そう?」




「だからあたし翔のこと何も知らないんだよ」


「突然なんだよ(笑)」

「翔って自分のことを全然教えてくれないじゃん」


「これから知っていけばいいじゃん」



翔はそう言ってあたしに水鉄砲を飛ばしてきた。



翔はいつもそう。
自分の話になると逃げ出す。

自分のことを話そうとしない。




翔って自信満々そうに見えるのに、実は自信がないのかなって思ったりする。

本当の自分をさらけ出すのが怖いみたいにいつも壁を作ってくる。



そういうとこ、あたしに似てる。



あたしも人に本音を言えない。
本当の自分を知られるのが怖い。



さらけ出せるのはきっと、
翔だけ。


あたしの全て受け止めてくれたのは翔だけだったから。






あたしは翔に全て見せてるのに、翔は見せてくれないのが寂しい。





「……これからなんて、いつまで続くかわかんないのに…」