「絶対、店長を裏切ってほしくない。
翔なんて絶対反対。

…でも美華の気持ちちょっと分かるんだよね」



「へ?」





「好きになっちゃダメって頭では分かってても言うこと聞かないんだよね。
あたしももうやめようやめようって思って結局1年半片想いしてるわけだし。(笑)」




恋愛って、難しい。



理性がきかない。

頭でどれほどブレーキかけたって
体が翔を求めてる。



止めることなんてできなくて。

気持ちだけが大きくなってく。




「マナミ、池田とは進展ないわけ?」

「告白したよ!
でも彼女いるから無理って。
玉砕」

マナミはそう言って笑った。



「マナミ、人のこと心配してる場合じゃないじゃん。
なんかこんなときにごめん」

「なんで?
あたし全然気にしてない!
彼女と別れるまで告白し続けるし諦める気なんてないもん(笑)」

「あんたの方が病気だけど」

「そうなんだよね〜。
人のことは言えるのに、自分を言い聞かすことはできないっていうか……」



あたしはタバコを吸いながら左手首についてるブレスを眺めた。


「それ?翔からのプレゼント」

「うん。
これと、ドレス20着」


「翔、また美華に歌舞伎町に戻ってきてほしいんじゃない?」


「…そうなのかな」



「でも、美華ずっとこのままでいるの?
仕事しないんならもう店長と結婚しちゃえばー?」

マナミはケラケラ笑う。




「歌舞伎町…もどろっかなぁ」



あたしがボソッと呟いた。