「あたしのこと、フってよ…」


こんなことしか言えない。






「別れないから。
お前が誰を好きでも俺は別れない。」



あたしは首を振る。

「こんなあたし、店長と付き合う資格ない。
あたしみたいな最低な女もうやめて、他の子と幸せになるべきだよ」

「そんなのとっくに思ってる。
二年前から思ってる。
でも無理だったからお前といるんじゃねーのかよ!!!」


初めて、店長が怒鳴った。


こんな店長、初めてだった。




店長はあたしを抱きかかえてお風呂場へと連れてった。

それからあたしの服を脱がし、シャワーを浴びさせた。


店長があたしの身体を洗う。
まるで翔のぬくもりを消すかのように。

あたしは、その間涙が止まらなかった。





「美華を幸せにできるのはあいつじゃない。
俺なんだよ。
美華、気付いたんじゃないのかよ……」






こんなに想ってくれてる店長を傷つけた。




こんな時でもあたしの頭の中の翔が消えない。




「こんな最低なあたしを、許さないでよ……」



あたしは泣きながら店長に言うけど、

店長も泣くだけで何も答えてはくれなかった。