人通りの多い店の前の道であたしを抱きしめる。


その光景に振り返る人たち。

写メの音さえ聞こえる。



「えっ、翔?」


「俺に嘘つくのやめろよ」



翔の目が本気だった。



「美華のこと、忘れようとしてたのに、今更会いにくんなよ。」





何を言ってるのか分からなかった。



夢か現実なのかも分からない。







すると…

「翔!」

店内から翔を呼ぶ声。


「やっべぇ」


翔はあたしの腕を引っ張り思いっきり走り出した。



「えっ!?!?」






わけもわからず翔に引っ張られて走るしかないあたし。




どれくらい走っただろうか。




あたしはしゃがみこんで息を切らした。


「わりぃ。代表の声がしたからつい逃げちゃった」


翔はふざけたように笑ってる。