「今時日記かよ…」


初めて来た場所なのに、懐かしい香りがする。




生活感の全くないこの部屋に何冊かのノートだけが無造作に散らばっていた。




俺はその中の一冊を手に取りパラパラとページをめくった。






"死にたい"

その四文字がページを埋め尽くしていた。


俺は胸糞悪くなって
そのノートを閉じ、違うノートを開いた。


"ショウに会えてよかった。"

"あたしの人生、捨てたもんじゃなかったよ"

"どん底にいたあたしに幸せを教えてくれてありがとう"







俺は涙が溢れて止まらなくなった。






今さら実感がわいてくるなんて。



「美華……」



この香りも、この字も
間違いなく美華のものだ。

俺が愛した美華のものだ。




「なんでだよ……美華……」




もう二度と戻らない。
もう二度と美華には会えない。


もう二度と誰かを愛することはないだろう。
あんな女、お前しかいねーよ。





神様、お願いします。

何もいらない。
どんな試練も耐えてみせる。


だから、どうか
美華を返してください。