「へぇ~!ねぇ、何組の…」

「おい」

友達の声に被せられた低い声

あ、まずいっと零した友達は、気がつけばずるずると男の人に連れていかれた

ふと目に入ったのは、教室の入口で話をしているカップル

ふわふわと柔らかそうな髪をしている優しそうな男の子と、綺麗な女の子

お似合いだな…なんて、ことを思っていた

「で、綾音の彼氏は誰なの?」

「あ、え、えっと」

口ごもる綾音

「…3組のささ……」

キーンコーンカーンコーン

綾音の声を遮るように、チャイムが響いた

気づいた時には、入口にいた男の子はいなくなっていた

チャイムのせいで、綾音の声は聞こえなかった