麗らかな陽射し、苔の生えた岩、流れる小川…。


小鳥が歌うように鳴いている。



そこに佇むひとりの少女。



少女の白い肌を陽射しが指す。



黒髪に淡い桜色の着物を身に着けている。



この世界は天と言う機関が存在する。(実際に見たものはいないが。)



天は此の世を見守り、
この世の平和を見守る…と言われている。



それを信じる者は仏教徒で、信じないものの殆どが将軍などの武士だった。



少女はそのどちらにも成りきれずにいる商人の娘だった。



少女は流れる小川の側で物思いに耽っていた。



「…また不作…」



このところ、不作続きで生活が苦しくなっている。



米価の高騰が続き、市民は悲鳴をあげている。



「天があるならどうして安定した作物を恵んでくださらないのかしら…。」