食人姫

「谷の大人達は……全員が儀式に賛成してるってわけじゃないのか?」


率直に感じた事はそれ。


俺達だけじゃなく、今回初めて儀式の為に帰って来た大人達も、儀式の話を聞いて反発したのだろう。


その結果がこの暴動と言うか、抵抗運動みたいな事を引き起こしているに違いない。


だけど、集会所にいた人達も黙ってはいなかった。




「黙らんか!儀式の意味も分からんクソガキどもが!!いいか?この儀式をせんと、お前らも死ぬ事になるんじゃ!!谷の人間全員の命がかかっとるんじゃ!」


「それは脅しか!!てめえらが邪魔者を消すつもりだろうが!!ふざけんな!」




集会所の大人の反論が、仮に正論だったとしても、火に油を注ぐだけ。


反対派はより一層エキサイトして、殴り合いに発展する事は時間の問題だった。


「……どっちも言い分があるから、この衝突は避けられないね。でも、反対する人がこんなに多いとは思わなかったけど」


「今ここに、谷の男衆が全員集まってるんじゃねえか?反対派の方が人数多そうだけどよ」


昨日、集会所の中に入った哲也が、この状況を見て楽しそうに微笑んだ。


「さあ、どうする親父達」と、この状況を楽しんでいるようにも見える。