食人姫

夜の外と言えば……パッと思い付くのはあの化け物しかない。


俺だけじゃなく、哲也と直人も窓に駆け寄り、そっと覗くように窓枠から顔を出してみると……。














この家の近くにある集会所の前に、押し寄せている村の大人達の姿がそこにあったのだ。


「ん?何してんだありゃあ」


昨日はなかった光景に、哲也ですら不思議そうに呟く。


ここからじゃ暗くて分からないけど、何か揉み合っているような風にも見える。


儀式を明日に控えていると言うのに、大人達が、ここに来てなぜか衝突していたのだ。


「なんだろう……何を揉めてるんだろう」


「わかんないけど何か言ってる……」


直人の疑問に由奈が、人差し指を口に当て「シーッ」と言って耳を澄ます。











「……女を生贄にするってどういう事だ!谷の子供を犠牲にしなきゃならねえ儀式なんてやめちまえ!」


「俺達の家族みてえなもんなんだぞ!あんたらはそれでいいのかよ!」







比較的若い大人達が、集会所に押しかけているいるようで、怒りを爆発させているようだった。


その中には、もうすでに儀式を済ませているであろう年齢の人達もいるけど、この状況から分かる事はあった。