食人姫

だけど、勝浩がどういう状況でああなったか、分からない俺達に出来る事と言えば、想像しかない。


「もしも、あの蔵で何かを見付けて、それが殺される原因となったとしたら?」


俺よりも先に口を開いた直人が、哲也の感情を逆撫でしないよう、落ち着いた口調で呟く。


殺されるような何かが、誰の目にも触れずに蔵の中に隠されているとは思えない……とは言えないか。


「例えば……この指とかノートとか?」


畳の上に置かれたそれを指差して見せた。


「これはそんなに重要な事が書かれているわけじゃないけど、もっと重要な、この谷の存続に関わるような事だったとしたらどうする?」


他の話なら、「そんな大袈裟な」とか言って笑い飛ばすような内容だけど、人が一人死んでるんだ。


どんな事だってありえそうな気がする。


「まだ大人だけの秘密があるのかよ。俺達は蚊帳の外で、都合が悪くなったら殺そうってのか!?ふざけんじゃねえよ!」



それは、俺達に言ったのか、それとも大人達への不満なのかは分からない。


でも、考えれば考えるほどに、俺はそうとしか思えなくなっていた。


「なんか……大丈夫なの?この谷……って、あれ?何?」


不安そうに窓の外を見た由奈が、何かを見付けたかのように外を指差して呟いた。