食人姫

哲也の部屋で、俺と由奈の身に何が起こったのかを皆に話した。


蔵に閉じ込められた事、幽霊が現れた事、そしてノートと指を見付けた事を。


「……まあ、大輔がそんなくだらねえ嘘をつくはずねえけどよ、マジかよそれ」


哲也の興味は、俺達の身に何が起こったかというよりも、俺の前に置かれた木箱に移っている。


それを手に取り、恐る恐る箱を開けて布をめくる。


「うお……おお」


想像していた以上に干からびていたのだろうか、一瞬驚いたような表情を浮かべたけど、目を細めて小さく頷く。


「それにしても、1000年前に余計な事してくれたよね、その山賊達さ。なんで関係ない谷が被害受けなきゃならないのさ」


未来は、ノートに書かれたその内容に不満を抱いたようだ。


まあ、そう思っても仕方ないな。


この谷に生まれたから、女子は高校にも行かせてもらえず、家の手伝いを強要されているのだから。


それも、自らが死ぬ儀式を行う巫女になる為に。


「でもさ、どうやって麻里絵を助ければ良いんだろ。化け物が1000年くらい前に死んだ呪い師だったとしたら、俺達にはどうにも出来ない気がするんだけど」


そんな源太の質問に対する答えは、やはり最初の不幸をこの谷の祖先はどうやって切り抜けたのかという事だった。