食人姫

俺の言葉に、由奈が首を傾げる。


なんか難しい事言ったか?


「最初から巫女を生贄にしたんじゃないの?そうじゃないと、あの化け物に食われるじゃない」


「いやいや、ほら、よく見ろよ。33年毎に不幸が起こって、巫女を生贄に捧げて難を逃れた……って書いてあるだろ?つまり、難を逃れられなかった時が絶対にあったはずなんだよ」


「うーん、そうなの?だったら最初の時は、どうやってあの化け物を鎮めたんだろ」


……俺が言いたい事を先に言われてしまった。


結局そういう事なんだよ。


巫女を生贄に捧げなくても、あの化け物をどうにかする方法があると言うのなら、麻里絵は死ななくても済むかもしれないから。


化け物の正体が何なのかを調べる為に蔵を調べて、求めていた以上の結果が出たという感じだ。


残念なのは、この蔵から出られないという事と、今の状況を誰かに伝える手段がないという事。


高校進学の際に父さんに携帯電話を買ってくれと言ったけど、必要ないと一蹴されたからな。


特に、この谷では必要ではないから誰も持ってはいないはず。


「まあ、誰か来るまで考えていようぜ」


自力で脱出出来ない俺達には、それくらいしかする事がなかった。