食人姫

普段、涙を見せない由奈が泣いていたのに、俺は気遣う事も出来ずに思いをぶつけた。


そんな俺に、由奈はどんな感情を抱いただろうか。


由奈の家の蔵の中、何十年も掃除をしていないかのような埃の中、俺達はこれといったあてもなく、懐中電灯の明かりで「何か」を探していた。


あれから由奈とは一言も話していない。


光が「由奈を頼む」と言ったのはこの事だったのかと、今になって思う。


「うわ……これって鎧か?戦国時代のやつ?」


それほど立派ではない、せいぜい足軽の胴であろう鎧が無造作に置かれていたりする。


古いタンスに古いツボ。


木製の農機具や中身が何かも分からない箱が山積みになっている蔵の中で、俺は溜め息を吐いた。


これじゃあ、4時までに全部調べるのなんて無理だな。


でも、調べなければ明日には儀式が始まってしまう。


弱音を吐いている暇すらない。


「由奈、俺二階を調べるから、動かせない物があったら呼んでくれよ」


何となくだけど、二階が怪しく思える。


梯子が架けられた、蔵の上段ってだけの空間だけど。


そして、由奈から返事もないまま二階に上がり、懐中電灯の明かりを暗闇に向けた時だった。












「えっ!?あっ!」










下から、由奈の声が聞こえたのだ。