食人姫

「おい、由奈!何してんだよ、時間がないんだぞ!」


哲也の家から由奈の家に戻っている最中、急ごうと焦っている俺の後方で、由奈がうつむいてトボトボと歩いている。


全く、少しでも早く調べたいってのに、由奈は何を考えてるんだよ。


苛立ちながら道を引き返して、由奈の腕を掴んだ俺は……なぜ由奈がうつむいていたのか、その理由を知った。












泣いてる……のか?


どうして今泣かなきゃならないんだ。


「大輔君……知ってたのに、なんで……なんで言ってくれなかったのよ」


涙声で、肩を震わせながら言った言葉は、無理矢理押し出したように聞こえる。


「私……麻里絵に言っちゃったんだよ!羨ましいって!凄い事だって!お兄ちゃんも知ってたのに……なんで私には……」


そうか、由奈は知らなかったんだ。


俺と同じだ。


例え、儀式の内容を知らなかったとはいえ、巫女になった事を喜ぶのは、死ぬ事を喜んでしまった。


無知な自分が悲しくなって、腹が立って……。


だけど、だからって足を止めていられない。


「良いか由奈、これは、麻里絵を助ける為なんだ。泣いてる暇があったら、化け物の事を調べて解決策を考えるしかないんだよ!」