食人姫

「ああ、言われてんな。でもよ、それとこれとどういう関係があんだよ。野良仕事で生活しろってか?俺はやだね。高校卒業したら出て行ってやるぜ」


哲也みたいに考えて当然のはずだ。


農業くらいでしか生活出来そうにないこの谷で、生まれた時から人生を決められているなんて嫌だと思う人がいないはずがない。


「そうじゃない。この谷がそうやって存続し続けているなら、何かしら手掛かりになるような物がないかって事だよ。ほら、この家の蔵の中とかにさ」


そう言って窓の外を指差す直人。


確かに、この谷の家のいくつかに一つは蔵がある。


宝探しだとか言って、昔蔵の中で遊んでいて怒られた事があったな。


「なるほど、僕達が知らない事も、蔵の中の物が知っているかもしれないね。あの化け物の事が分かるかどうかは分からないけど」


「調べてみないと分からないだろ?まさか、ただ話しているだけで解決するとでも思ってないよね?」


光と直人の会話に触発されたのか、勝浩が何かを思い立ったようにその場に立ち上がった。


「お、俺、家の蔵を調べてくる!何かあったらここに戻って来るから!」


言い終わるより早く駆け出した勝浩。


その姿を見て、俺も動かないわけにはいかなかった。