食人姫

結局、解決策どころか、その話の真偽すら分からないまま、俺達は部屋に戻った。


聞いた話を否定するかのように、仲間達とバカな話をして。


そして時間が流れ、21時を過ぎた頃、哲也が思い出したかのようにこんな話を切り出した。


「あー、お前らそろそろ帰れ。さっき集会所でおっちゃん達が言ってたんだけどよ、『儀式をしてないやつが夜道を歩くと、化け物に食われちまうぞ』だとよ。化け物に食われねぇうちに帰れ」


思いもよらない哲也の言葉に、源太と勝浩はバカにしたように笑う。


「なんだよそれ。そんな話を信じてんの?哲ちゃんにも怖いものがあったんだ」


「え、ちょっとマジ無理なんだけど、そういう話」


二人とは対照的に、由奈は引きつった笑い。


俺はというと……儀式の話といい、今の話といい、信じていいのかどうか、判断出来ないでいた。


「うるせえな、俺はお前らと違って素直なんだよ。良いから帰れ。眠いんだよ」


そう言いつつも、またタバコに火を点ける。


寝る気なんて全くないんだろうなと思いながら、俺は立ち上がって三人を見た。


「ま、明日もまた集まれば良いだけだしな。今日は帰ろうぜ」


そう促して、三人を部屋から出し、俺も出ようとした時だった。








「大輔、気ぃ付けろよ」





背後から聞こえた、哲也の声に手を挙げて答えて、俺は部屋を出た。