食人姫

最初に見たのは、小谷実香と、哲也の親父さんがこの谷を逃げようとしている映像。


次が、巫女に選ばれた娘の父親が喜んでいる所。


時代が逆行するように、恐らく歴代の巫女が見ていたであろう映像が映し出されていた。


巫女が尊いものだと、喜ばれるようになったのはごく最近のようで、それ以前は巫女になりたくないと、抵抗していたのがこれから伺える。


そして……最初の方は、嫌がる女の子を無理矢理巫女に仕立て上げ、儀式を行うという、狂気さえ感じる物だった。


そして問題の、最後に見えた映像は……。













大昔のこの谷では、飢饉が起こった。


飢えに苦しんだ人々は次々と死んで行き、壊滅的な状況に陥ったのだ。


谷では、この33年前に疫病が流行し、その時にも多くの人達が命を落とした。


呪い師がこの谷に呪いをかけたのだと、谷の人達はこの時、初めて生け贄として巫女を捧げた。


それが、1000年以上続くこの儀式の、最初の巫女だったのだ。








「さあ、食らうがよい」






自らも飢えに苦しんだだろう、巫女の最後の言葉。


その言葉が頭の中に響いて、俺は映像から弾かれるように、現実に戻った。