食人姫

「光君、私、どうすれば良いの?本当に儀式をしなくても、皆死ななくて済むの?」


今回の作戦を、何も聞いていない麻里絵にとっては不安しかないだろう。


俺達のこの行動が、どういう結果をもたらすのか。


それは俺にも分からない。


だけど、誰も死ぬ必要なんてない。


それだけは言える。


「先代の巫女が守ってくれる。麻里絵は死ななくて良いんだ」


麻里絵の肩を掴んで、俺がそう言うと、その目にジワッと涙が溢れる。


ポロリと零れ落ちた涙が、俺に「死にたくない」と言っているようで、これが麻里絵の本心なのだと理解出来た。


「さあ、哲也が無事なうちに早く逃げて。この谷から出て、麻里絵を守ってあげて」


「おう。任せろ」


ここに来るまで、俺自身どうすれば良いのか分かってなかった。


麻里絵を助けた後、どうすれば良いのか。


だけど、今になってようやく気付いた。


この谷を捨てて、どこかで麻里絵と一緒に生きよう。


死を選ぶくらいなら、俺と死ぬまで一緒にいてほしいと。


先の事はまだ分からないけど、今はそう思う。


「じゃあ、さようならだね。僕が大好きな二人が幸せになれる事を祈ってるよ」