食人姫

「お、おいっ!コラ!大人しくしろ!死にたいのか!!」


「やれるもんならやってみやがれ!俺は死ぬ気でここまで来たんだよ!!刀を抜く覚悟もねぇのに俺を殺せるのかよ!!」


石段を下りた所で、社務所から飛び出した警護を含めた七人を相手に、哲也が一人で戦っている。


目を引き付けるには、十分過ぎるほどの暴れっぷりだ。


「今のうちに行くよ。僕達が早く麻里絵を助ければ、それだけ哲也の負担も少なくなるからね」


そう言い、背負っていたリュックを手に取り、俺の背中を押す。


俺の知らないところで、哲也と光はこうなる事を予想していたのか。


予想外の事態に陥った……にしては、二人ともやけに冷静に対処している風に見える。


まるで、こうなったらこうしようと打ち合わせでもしていたかのようだ。


俺は光に促されるまま、本殿の中へと入った。


妙な祭壇を迂回し、奥に行くと障子。


それをそっと開けて中に入ると……俺の目に、恐ろしい光景が飛び込んで来たのだ。








床一面が赤黒く、壁や天井にもそれが飛んでいるのが分かる。


夢で見たあの部屋と同じ場所。


歴代の巫女達が最期を迎えたであろう場所に、俺は足を踏み入れた。