食人姫

あれから一時間、待っている間に一度、警護の交代があった。


運良くその時に当たったのか、一時間毎に交代しているのかはわからないけれど。


だけど、そのタイミングで大きな隙が生まれたような気がする。


「大輔、気付いた?警護の交代の時間の前に、チラチラ時計を見てたよね?」


光も気付いている。


「ああ、早く交代が来ないかって、時間をずっと気にしてたな」


そうやって時計を見ている一瞬の時間、周囲に警戒が向いていない。


一気に本殿の中に入るのは無理でも、少しずつ近付く事が出来る可能性があるなら、その隙を突かない手はない。


「一時間交代なら、後50分後だね。それまで少し離れていようか」


「そうだな、ずっとここにいると息が詰まりそうだし。哲也もそれで良いよな?」


近くで隙を伺うべきだと言っていた哲也も、この一時間様子を伺って、そこしか隙がないと判断したのだろう。


今度は俺達に反論もせずに小さく頷いた。


よし、そうとなれば、ここから離れよう。


緊張しっぱなしで、神経を随分すり減らしたような気がするから。


そんな安心感が、俺の心に隙を生んだのかもしれない。


ゆっくりと移動を始めたその時。













パキッ。












知らずに踏み付けていた木の枝が折れて、乾いた音を立てたのだ。