食人姫

なるべく音を立てないように、俺達はゆっくりと神社の方に近付い
た。


俺達が接近してる事を気付かれれば、その時点で殺されるだろう。


殺されるなんて、冗談じゃない。


「で、ここからどうするよ?本殿の中に侵入する作戦はあるんだろうな?」


本殿の周囲にある生け垣に身を隠し、見張りの警護を見ながら哲也が、俺と光に囁く。


作戦……と、言われてもな。


夜になったら警護の警戒は薄くなる。


その隙を突いて、本殿に侵入するというのが作戦なんだけど。


「……警戒が薄れてる……はずなんだけどな」


そこにいた警護は、俺の期待を裏切って、しっかりと周囲を見回し、警戒を怠っていなかったのだ。


少しでも怪しい物音を立てれば、即座に見付けられて、俺達は殺されるだろう。


そんな中で、一か八か飛び出すなんて出来るわけがない。


確実に本殿に入る事が出来なければ、実行する意味すらないのだ。


「とりあえず離れよう。作戦を立て直すんだ」


今のままで侵入するのは危険だ。


そう感じた俺は、山を少し下りて、ここから離れた場所で待機するつもりでそう言ったけど……。


哲也は、それに反対なのか、首を縦には振らなかった。