食人姫

あれから20分、何度も足を滑らせて、斜面を転がり落ちそうになりながらも、何とか傾斜が緩やかな場所まで辿り着く事が出来た。


先に行っていた二人はもう、すぐそこに神社が見える場所で俺を待っていて、待ちくたびれたと言った様子。


「やっぱり遅いなお前は。まあ、昔みたいに泣かなかっただけマシか」


こんな所に来てもタバコに吸って休憩。


煙を口と鼻から出して俺にタバコの先端を向ける。


「はぁ……はぁ……悪かったな。どうせ俺は遅いよ。だから一人で行こうとしたんだっての」


哲也はともかく、俺より運動出来ないはずの光が、どうして先に行ってるんだよ。


使う筋肉が違うのか!?


「大輔は山から離れてたからね。慣れてないのも仕方ないよ。僕達みたいに山菜採りに山に入らないから」


こいつらの強さは山菜採りか……。


そう言えばうちは山菜もらってばかりで採りに行った事がないな。


それが大きな差になったんだな。


「俺、谷に戻って来たら山菜採りに行くわ……」


何を言ってるんだ俺は。


酸素が頭に回らなくておかしな事を口走ってるぞ。


「とりあえず落ち着け。俺がタバコを吸い終わったら行くぞ」