食人姫

哲也がそう言うと、また急に接近する人影。


ドンッと、俺に身を預けるようにぶつかり、顔を上げてニッコリと微笑む。


「そうだよ。大輔の考えてる事くらい分かるんだからね。行くなら僕も連れて行ってよ」


こいつら本当に分かってるのか?


今から行く所は神社で、見つかったら死ぬかもしれない場所なんだぞ?


それに……今は夜だ。


化け物達がそこかしこにいて、少しでも指の加護の外に出れば、食われかねない危険な状況なのに。


「お前の返事は聞いてねえからな。マジでやべぇのは分かってるけどよ、お前を一人で行かせられるほど、俺は薄情じゃねえよ」


「哲也……」


死の危険が伴う。


指を持っている俺は、化け物に食われるというリスクは少ない。


俺から離れないように移動しなければならない二人にとっては、相当のリスクだろうに、それすらも受け入れて行こうとしている。


「一応、由奈の服を拝借して来たんだ。僕と哲也で話し合って、ちょっとした作戦を立ててね」


「そうそう、大輔はただ黙って付いて来れば良いんだよ。俺達に任せろ」


二人して俺を見て笑う。


何をしようとしているのかは分からないけど、考えていたのは俺だけじゃなかったんだと思うと、少し嬉しくもあった。