食人姫

誰も、俺がいるとは思っていないはずの暗い道。


しばらく歩いて、今度は哲也の家の前。


今日は集会所には明かりは点いておらず、誰もいない事が分かる。


「やっぱり賛成派は神社にいるのかな?」


賛成派って言っても、あの人達は特にこの谷で発言力を持っている。


儀式の進行もするのだろう。


まあ、誰がいるかは分からないけど、誰がいたって俺がやる事に変わりはない。


闇に紛れて、昼間に由奈と登ったお地蔵さんの裏から神社に向かう為に、再び歩き出したその時だった。













タッタッタ……と、足音が俺の方に近付いて来る。


焦って振り返った俺の目に、黒い人影が飛び込んで来たのだ!


「う、うわっ!」


思わず手で払いのけようとしたけど、大きな人影はそれを物ともせずに俺に飛び付いたのだ。


「セーフっと!おうコラ大輔!何一人で行こうとしてんだ!」


俺の首に手を回し、グッと締め上げるのは……哲也だった。


由奈といい、哲也といい、どうして俺一人で行かせてくれないんだ。


「哲也……びっくりするだろ!どうして一人で行かせてくれないかな」


「アホかテメェは。カッコつけて一人で行こうとしてんじゃねぇよ。なあ、光」