食人姫

「本殿の四隅に一人ずつか……麻里絵は本殿の中にいると思って間違いないな」


少しだけ山を下り、木の陰に隠れて状況を整理していた。


本殿の入り口らしい入り口は正面だけ、四隅には警護が陣取っていて、侵入は容易ではない。


「麻里絵、一人でいるのかな……寂しくないかな」


そりゃあ寂しいだろ。


明日の夜には儀式が行われて死んでしまうというのに、最期の時まで一人だったら。


まあ、本殿の中に他の人がいるかもしれないけどな。


「寂しいのは今だけだ。指を渡して化け物に食われなかったら、麻里絵は助かるんだからな」


「……うん、そうだよね。麻里絵を助けなきゃね」


俺達に小谷実香の指という切り札がある事は、俺達しか知らない。


これは大きな武器だ。


だけど、麻里絵に指を渡したら、俺達は無事に帰る事が出来るだろうか?


化け物に襲われたら、身を守ってくれる物は何もない。


そこの解決策をまだ思い付いていないから不安だ。


こんな状況で……他の皆を巻き込むわけには行かないよな。


「とりあえず家に戻ろう。ずっといても意味がないからな」


本殿の四隅に警護が配置されているのが分かっただけでも収穫はあった。


後は実行するだけだ。