食人姫

そうして、由奈に無言の圧力をかけられたまま登る事30分。


ようやく、神社の本殿の裏手に出る事が出来た俺達は、生垣に隠れて様子を伺っていた。


ここからではどんな状況なのか良く分からないけど、本殿の角に人が二人いる。


鳥居にいた警護と同じ格好で、腰にはやはり刀を帯びている。


ここにいる事がバレれば、それこそ殺されてしまうだろう。


「ねぇ、これからどうするの?すぐに麻里絵に指を渡しに行く?」


チャンスがあればそうしたいとこだけど、昼はやはり反対派を警戒しているだろうから、警護もしっかり見張っているだろう。


明るいうちは、変な事はしない方が良い。


「本殿の前に回ろう。気付かれないようにそっとな」


俺は左側を指差して、由奈に移動するよう指示を出した。


生垣から少し離れて、物音が警護に聞こえないように。


そうやって移動して、本殿の正面が見える位置にやって来た。


案の定、本殿の角には人がいる。


儀式に参加する人はもう、社務所に入っているのか、それ以外の人影はなかった。


だけど……これは本当にどうすれば良いんだ。


夜の闇に紛れても、下手すれば見付かってしまいそうだ。