食人姫

まるで小鳥が餌をついばむように、少しずつ無くなっていく麻里絵の身体。


ついには身体を支えきれなくなって、折れるようにして床に崩れ落ちた。


そんな事はお構い無しに、化け物が次々と麻里絵に襲い掛かる。


「や、やめ……うっ!」


止めさせたいのに、今までに見た事も無いような凄惨な光景に、吐き気だけははっきりと分かる。


夢だと分かっているのに。


血が飛び散り、床を赤く染め上げる。


この赤黒い床は……過去の巫女達の血でこんな色になっているのかと、今になってやっと分かった。


そして……化け物についばまれ続けた麻里絵は、頭部だけを残して食われてしまった。


ごろりと床を転がるそれが、虚ろな瞳で俺を見上げて……。
















「大輔君、どうして助けてくれなかったの?」















そう呟いた後、化け物に食われて、完全に消滅してしまったのだ。


これは夢だ、夢なんだ!


分かってるから早く覚めてくれ!


何度も何度もそう願っても、この悪夢は覚めなくて、しばらくして化け物達が空気中に解けるように姿を消すまで、俺は麻里絵が食われたこの部屋を見ている事しか出来なかった。