食人姫

なんだか良い流れじゃないか?


方法を聞いてから考えるって言ってた直人も、俺が考えていなかった事まで言ってくれたし。


「……だけど、次は?次の儀式の年も、その次も、こんな指一つでどうにかなるのか?その時には、儀式を済ませた大人達は、もう生きていない可能性が高いんだぞ」


俺と哲也しか知らないけど、この指が化け物を退ける範囲は大体畳2畳分くらい。


それを言ったら、多分直人は反対する。


谷の人間全員を守れるだけの力がないと分かれば。


「んなもん関係ねえよ。33年に一度の儀式が、避難の日に変わるだけだ。全員で固まってりゃ化け物も襲って来ねえ」


哲也が、分かっているのか分かっていないのか、俺の不安を打ち消すような強気な言葉で、直人を黙らせる。


指がどれだけ効果があるかは言わない方が良さそうだ。


夏美も……何がなんでも嫌だって言っていた表情が、少し迷い始めたようで、視線がフラフラ泳いでいる。


「今から神社に行ってみるか。その時にそっと麻里絵に指を渡せれば良いんだけどよ」


道で見た時、麻里絵に近付く事すら許されなかったのに、指を渡すなんて出来るのだろうか。


厳重な警備が敷かれてるような気がするけど、やるしかない。