食人姫

「……まあええわい。朝になったら出してやるって約束だったからのう。牢の鍵を開けたら、哲をしっかり抑えろよ。こいつはちぃと暴れるからのう」


生きている可能性はゼロに等しい。


それなのにこんなに人を連れて来て……万が一の事を考えてたって事かよ。


牢の鍵が開けられる。


格子が開く。


と、同時に駆け出した哲也が爺ちゃんに飛び掛かったけど……大人達に取り抑えられて、あっけなく床に押し付けられた。


「放せ!ジジイ!絶対に殺してやるからな!!」


「まだまだわしは死なん!さて、お前はどうする?大人しくしておればこうはならんが」


杖の先端を俺に向け、蔑んだような目で俺を見る。


どうもこうもない。


哲也でさえ何も出来ずに取り抑えられたのに、俺が何をしても意味がない事は分かってる。


「……大丈夫です」


「そうそう、物分りがええ奴は嫌いじゃないわい。哲も少しは見習ったらどうじゃ?」


「くそっ!放せ!放せよ!!」


こうして、俺達は小屋を出る事が出来た。


麻里絵に会っても何も知る事が出来ずに、死の危険すらある夜の小屋で朝を待ち、何も出来ないまま……その時を迎えようとしていた。