食人姫

「大輔、お、お前良く横になれんな。こいつらがいるってのによ……」


「起きてても寝てても同じだろ?まあ、怖くないわけじゃないけどさ」


ここから出られるって言うなら、この指を持って今すぐにでも逃げ出したいけど、そんな事は出来そうにない。


いつから使われていた座敷牢か知らないけど、格子はしっかりとしていて、俺達の力ではどうする事も出来そうになかったから。


「お前、昔から変な度胸だけはあるからな……たまに感覚が麻痺してんじゃねえかって思う事があったぜ」


そうかな?哲也の方が度胸はあると思うけど。


俺は……この化け物に囲まれて、もうダメだと、命は尽きたものだと思ってしまったから、それを思えば今の状況は助かったと安心出来てるのかもしれない。


得体の知れないものは、何をしてくるか、自分に危害を加えるのかどうかすらわからないから怖い。


だけど、どんなものでも絶対に襲って来ない、安全だと分かれば、それほどでもない。


動物園や水族館で、人を襲う事のある動物を見るのと同じ感覚。


……なんて思える俺はおかしいのかな。


明らかにそんな状況とは違うのに、こんな事を思えるなんて。