食人姫

「考えてみろよ、賛成派の大人は、儀式を済ませてるわけだろ?だったら、何も今回儀式をしなくても、化け物に食われる心配はないはずだ」


「ん?おお、そういやそうだな」


「反対派の多くは儀式を済ませてない人達だから、化け物に食われる危険性を考えると、本当ならこっちの人達が儀式を強行したいと思うはずだろ?」


化け物に食われる人達を見て、微かに感じていた違和感が、口に出してみるとはっきりと分かる。


儀式をしなくても良い賛成派と、儀式をしなければならないはずの反対派。


この奇妙な図式が、俺を悩ませていた。


「んー、確かにな。でも、どんな儀式をするのかわかんねぇし、俺達も反対だろ?麻里絵を死なせたくねぇって思ってるから反対してるんじゃねぇの?」


そう、反対派の理由なんて、そんなもんだろう。


だから反対派の行動は分かる。


でも、だったら賛成派はどうだ?


ただ、谷の風習だから?


恨まれても、谷の若者の命を救う為に儀式を推し進めようとしているのか?


その割には反対派が化け物に襲われた時には助けようとしなかったし……。


もう、何がなんだか分からない。


化け物が囲む中、俺は牢の中で横になった。