食人姫

座敷牢なんて物が、こんな田んぼの真ん中にあるなんてな。


なんて感心している場合じゃない。


「……ダメだ、やっぱり開きそうにないぞこれ」


こんな所にあるから、格子が腐ってたり、鍵の金具が錆び付いていたりしているかなと思ったけど、予想に反してしっかりしている。


どれだけ押しても、哲也が怒りに任せて蹴り飛ばしても開く気配はなかった。


「クソが!!あのジジイ!ここから出たらぶっ殺してやる!」


ドンッと、家の柱のような格子に拳を打ち付けて吠える。


「出られないなら待つしかないのか。朝になったら出してくれるって言ってるけど……」


「んなもん信用できるかよ!それに、俺達だけでどうするつもりだ?あの化け物が来たら……今度こそ逃げ場はねえぞ」


問題はそこだ。


爺ちゃんも、食われなかったらって言っていたし、ここに入れられるって事は、食われる事が前提なのだろう。


広さにして二畳ほどの空間で、どうやって化け物から逃げれば良いのか。


ここに現れないように祈るしかないけれど……そんなに甘くはなかったようで。


いつの間にそこにいたのか分からない黒い塊が、部屋の隅で蠢いたのだ。