食人姫

「んー、そうだな。とりあえずさっきやったみたいに、敷地内を通って一番向こうの家まで行くだろ。んで、斜め向かいの家に走って、塀を乗り越えれば麻里絵の家だ。簡単だな」


額の汗を拭い、呼吸を整えながら、笑ってみせた哲也。


「どこが簡単なんだよ……一番向こうの家から、斜め向かいの家に行くってのがやばいだろ。これだけ化け物がいたら、間違いなく殺されるぞ」


俺も、それしかないと分かってはいるけど……流石にこの数を見たら弱気になってしまう。


こんな事は哲也には言えないけど、一体だけでも怖くて、光が一緒にいてくれなかったら寝られなかっただろう。


それなのに、その十数倍の化け物が俺達の様子を伺っているのだから、怖がるなという方が無理な話だ。


「んな事言ったってよ、じゃあ帰るか?って言っても帰れねえだろ」


……だから、分かってるんだって。


怖くて、手足が震えているから、どうせ行くなら少しでもそれが治るのを待ってから行きたい。


「しっかしよぉ、こいつらに見られてると思うと休まらねぇな。逆に体力を奪われてる気分だぜ」


「それは言えるかな。移動……するか」


そう言い、俺達はこの家の外周を歩き始めた。