食人姫

襲って来ない……その理由はなんとなくだけど分かる。


集会所にいた人達が、集会所を離れた後に襲われた事や、俺と由奈が襲われそうになっていた時に、由奈の父さんが近付いて逃げて行ったから。


この家の中に、儀式を済ませた人がいる……その人には近付けないから、これ以上俺達に近付く事が出来ないんだ。


「で、でも、これからどうする!?ずっと囲まれてたら帰れないぞ!」


麻里絵の家は、この三軒並んだ家からあと少しという場所にある。


上手く行けばそこに辿り着く事は出来るだろう。


だけど、この化け物の中を帰る自信なんてないぞ。


「んなもん……まあ、麻里絵の家に泊めてもらえば良いんじゃね?事情を話せば泊めてくれるだろ」


……それしかないかなあ。


とにかくその時の事はその時に考えよう。


今は、このピンチをどう切り抜けるか。


それを考えるんだ。


「こいつら、どれだけ離れてたら大丈夫なんだ?それが分かれば、どこを通れば良いか分かるんだけどよ」


「どうだろうな。向こうの家では道路の真ん中にいたし……多分それくらい」


俺が知っているはずがない。


だけど、それはかなり重要な事で、俺達の命が懸かっているから慎重にならなきゃいけない事だ。