食人姫

俺達は誘い込まれたのか!?


外に出た事を知られていて、どこにも逃げられないように、気付いているのにわざと襲って来なかった。


それに上手く乗せられて、俺達はとんでもない泥沼にはまってしまったんじゃないか。


「大輔!こっちだ!」


哲也に引っ張られ、化け物が比較的少ない方に走る。


とはいえ、空にいる化け物に襲われたら、少ない方だろうが多い方だろうが関係ない。


食われる前に逃げるしかないのだ。


「ど、どこに逃げれば良いんだよ!!」


「知るか!とにかく走れ!」


後方を振り返って見ると、化け物が10体はいるだろうか。


そられが道を滑るように移動し、俺達に迫っていたのだ。


だけど……少し気になる点がある。


俺と由奈が襲われた時の化け物の速さは、こんなもんじゃなかったはずだ。


どんな理由があって遅いのかは分からないけど、今の俺達にとっては幸運以外の何物でもない。


不運な状況の中の唯一の幸運。


俺も哲也も全力疾走で、田んぼのあぜ道を駆け抜ける。


「あの家だ!あそこまで走れ!」


哲也が言ったのは、三軒並んでいる家の、一番手前の家。


辺りを見回しても、その家が一番近かった。