食人姫

ヤバい……嘘だろ?


まさか、俺達が庭を通っている間にそこには移動してたのか!?


「哲也!そこにいる!」


「何!?マジかよ!」


その場から弾かれるようにして走り出した俺は、二歩ほど走ってその足を止めた。


後ろから哲也がぶつかり、地面に倒れそうになるのを堪えて、俺は目に前にいる信じられないものに目を奪われた。


「何で止まって……」


哲也も気付いたみたいだ。


田んぼの中にいた黒い人影……だけど、道路を滑るように現れたもう一つの黒い影に。


どういう事だ……化け物は、一体だけじゃないのか!?


逃げ道を塞がれた。


慌てて振り返って、あぜ道の奥に逃げようとした俺達。












だけど……それもまた、無謀な決断だったという事を俺は思い知らされた。


俺達を取り囲むように、田んぼの中から現れる黒い人影。


空にも、俺達を襲おうとしているのか黒い影が漂っている。


「なんだよこりゃ!!この数はおかしいだろ!」


「と、とにかく逃げろ!」


空を飛ぶやつを相手に、逃げ切れるかはかなり怪しい。


だけど、こうなったら逃げるしかないじゃないか!


なぜこんなに化け物がいるかは分からないまま、俺達は必死に走った。